「制作モードへのプロセス」
芸術論とひとりごと
スポーツ選手が試合前にイヤホンをはめて音楽を聴きながら
集中を高めていているシーンは良く目にしますね。
画家も同じです、制作の助けとなるものは無条件に採用しましょう。
毎日目が覚めてから眠りに就くまでの脳への刺激は
私の様にアトリエに居て貝のごとく生存していても日々異なります。
一方アトリエに入れば、制作はいつも昨日の続き。
昨日と正確に同じ周波数に同調することが求められます。
私の場合、毎朝制作に入るまでのプロセスは、
以下の様に固定しています。
目が覚める → 軽く何か食べる → コーヒーを持ってアトリエへ → お香を焚く →
いつもの音楽をかける → スケッチブックに日付を書き込む →
瞑想しながら制作モードに同調するのを待つ
以上の様な感じですが、「言葉を耳にしない、話さない」事も大切にしています。
朝一番、今日も生まれたばかりの「真っ新な脳の状態」を保つ為のコツです。
十数年前、テレビで刀匠のドキュメント番組が放送されていました。
凍てつく朝、かなりの老齢に達した匠は、焚火で独り手を温めながら
念仏でも唱えるが如き姿で仕事場に入る前の時間を過ごしていました。
「ああ、自分と同じだ、もう(仕事は)始まっている」
そう感じたのを思い出します。