【第26話】 植えると生える

言葉のスケッチ

植えているも放っておくと生えているになる。
日ごろの生活に支障を来たさない程度の作為しか施さない我が家の庭は
ある意味自然に近い。
当初50種類ほどあったハーブ達はいつの間にか10数種類に淘汰されてしまった。
沢山のハーブを植えて見たのは細である。
週末に草引きのお誘いをしてみても「紫外線はお肌に、、、」と気の毒になる重装備を
必要となさったり、絶妙のタイミングで家の掃除にお取り掛かり遊ばすので
大抵独りで庭の大自然と格闘することとなる。

草引きを「我が心の雑草を引く」などと乙に構えてやっていられるのは春先だけのこと。
入梅時期からの雑草の伸びは素晴らしい。
ぢっと座って見ていれば伸びていくのが分るのではないかと思える程の繁盛ぶりである。
そう言えば真夏の茄子は見ていれば膨らんでくるのがわかると
農家のおじいちゃんが言っていた、試してみたことはないが多分本当だろう。

我が家のまるで雑草園ではハーブちゃんと雑草くんが
同居なさっておいでなのがやっかいだ。
アップルミントを避けながら高いのやら低いのやら
細いのやら太いのやらを引かなければならない所にレモンバームが混ざってこの子も
残し、クールミントは色違いで参加していらっしゃる、おっとこぼれ種からこんな所に
ラベンダーが、、。
この様に手と頭の動作は活況でボケ防止に良いかもしれん。

そうして手入れをしても時間の経過が雑草を連れて来る。

来週また同じ様に見えても今日引いた草はもう2度と生えてはいない。
どの様な時も宇宙はそれぞれ一意の瞬間を展開して見せている
物理学者さんはエントロピー増大の法則を製造されて得意だが、
これは人間さんから見て意味のある状態がその他の状態に比べて圧倒的に
数が少ないと言っているだけである。

もう少し分りやすく言うと1~100までの数字を書いたカードが重ねてあるとする。
それをシャッフルしたときカードの並びが1から100まで順番に並ぶのも、
一見全くランダムに並んでいるのもそれぞれ、
全組み合わせのうちのたった1通りの並び方である事に違いは無い。
人間さんに規則性が見つけられない並びも全て一意の状態である。

同様に宇宙の全粒子がどの様に並び又混ざって見えても、
そのそれぞれは唯一の状態であり、エントロピーの増大などというものは存在しない。

さてさて「偉大なる法則が間違っている」を暴いてみても、
やはり我が庭には雑草園よりはハーブ園、
生えているよりは植えている様に見えて欲しい。
あれこれ考えたついでに、植えていると生えている、生えている方が宜しいのを
探してみたが頭の髪の毛ぐらいしか思い浮かばない。

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