Section2-2『白い玉子を描く』

絵画実践プログラム

金子豊文|絵画実践プログラム|白い玉子を描く

はじめに

ここに白い玉子を置いてみます。

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玉子の輪郭に沿った背景の明暗の変化に注目してください。
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玉子の明部とぶつかった背景は暗く見えますし玉子の暗部とぶつかった背景は明るく見えます。

玉子が明部から暗部に変化するあたりで背景の方は逆に暗→明へと変化が生じています。
制作ではこういったトーンの変化を見事に作りきらなければなりません。
トーン変化はあらゆるところに生じていますのでその場所に応じた
濃淡変化(グラデーション)を作ります。

課題2ではあなたが見ているモニターの中の玉子の画像をモチーフにして、
それを描き写して絵にしてください。単に明暗の変化を描き写すだけではなく
トーンの質の吟味を含めて積極的な制作を考え制作時間の目安は20時間とします。

モチーフ画像(クリックで大きくなります)

積極的な制作とは、絵を良くする為に(意図的にトーンを濃くする薄くする等、)
いわば積極的につく嘘のことです。

用意するもの

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画板になる厚い板と下敷きの色画用紙そして今回使用する紙は
アルシュ水彩紙(フランス製)300g細目 
※玉子の物質感やかなり繊細な制作が要求されるので厚みがあって
タフそして目が細かい紙を選択しました。

用意するのが難しい方は似たような紙で構いません。

画面の大きさを10×15cmとしますので縦横数センチずつ大きくカットして
板に下敷きを乗せた上にマスキングテープで固定します。
HBの鉛筆で定規を使い10×15cmの四角を書きます。

紙には表裏がありますので透かしで確認します。

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鉛筆 4H、3H、2H、H、F、HB、B、2B、3B、4B
消しゴム  練りゴム  擦筆 カッター テッシュペーパー  
鉛筆の芯研ぎ

適切な環境

直射日光が画面に当たらない自然光空間。
もしくは昼光色蛍光灯の非常に明るい空間。
静かで集中できる環境で。

やってみましょう

『描き始め』

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『画面からはみ出した部分のケアはいつも通りに』
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『何度も鉛筆を付けたり擦りこんだりを繰り返しながら目的のトーンを探して行きます。』
部分

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画面のハリ

これはミケランジェロのデッサンです。隅々まで神経の行き届いたデッサンですが
画面左下の肩の部分から力が逃げているのがわかると思います。
(後年擦れてしまったのでしょう)

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分からない場合には手でその部分を隠して全体を見てみます。

手で隠れた部分も画面の他の部分同様にいい感じで描けていると想像してから
パッと手をどけてみるとわかるはずです。
画面の中に、ある程度以上の明確な位置感(抵抗感)を持った部分が出来てくると
その他の部分はそこに対応した位置感で出来上がって行かなければ
ハリのある画面になりません


『完成』

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『部分』

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「線(輪郭線)について」

最初頼りにして使った輪郭線のことを振り返ってみて下さい。

陰をつかって中のかたちを作り、背景とのトーン変化を追い、接地部分に落ちた影を使って玉子が置かれた状況を作っていくうちに輪郭線は「玉子の一部なのか、背景の一部なのか、床の一部なのか」
はっきりさせなければならなくなったはずです。

線(輪郭線)は人間の発明品であり自然界には存在しません。

課題を終えて

20時間闘うことができましたか?
小さい面積の画面、シンプルなモチーフ設定、この条件では、
必ずトーンの質や画面のハリに意識が向かったはずです。
その感覚を大切にして制作を続けていきましょう。

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