Section3-2『模 写』
はじめに
今回の制作は模写です。
模写をすることで、巨匠達がどう観て、どう考えて、どう描いたかを
追体験することができます。あまり身構えずに楽な気持ちでやってみましょう。
描いてみればわかりますが、印刷平面を描き写すだけですから、
構造的にはSECTION1でシミを描いたのと同じです。
しかも出来上がってくるデッサンは、
巨匠のデッサンに近いものとなる訳ですから悪い気はしないはずです。
最初は、描き写すことに一生懸命かもしれませんが、
そのうちに、図版のデッサンをモチーフとして
オリジナルのデッサンを描いている感覚が芽生えると良いです。
また、巨匠の描いたデッサンの良くないところを見つけて、
より良いデッサンにする志を持って臨みましょう。
やってみましょう
画集の入手
まず、画集を手に入れなければなりませんが、次の画家のものがお勧めです。
ダビンチ、ミケランジェロ、デューラー、ホルバイン、リューベンス、アングル、
ドガ。図版の大きさが、出来るだけオリジナルデッサンと同じ大きさで、
印刷が良い(細部のニュアンスや描いた手順まで読み取れる様な)画集を
選んでください。
描くにあたって
用意する画材は、描こうとするデッサンに近い感じを出せそうだと思うもので
充分です。
例)紙のテクスチャーが近そうなスケッチブックと鉛筆やコンテ等
もちろん画材に研究心を発揮するのは良いことです。
(地塗りを施した紙に描いてみる等々)
図版とスケッチブックを隣に置いて、さあ描いてみましょう。
注意する点は特にはありませんが、ここでも定規などで位置寸法を測って描くことはしないで下さい。
SECTION1の課題で経験した「かたちのとりかた」を思い出して
フリーハンドで描きましょう。
制作してみると当たり前のことが次々とわかってきます。
完成したところだけ見せられると、「とても出来そうにない」と
感じたりするものですが、制作過程がわかるものを見ると、
完成作を支える、あたりまえの準備が下に隠されていたりしてホッとする事が出来ます。
例1)
例2)
参考作品
サムネールクリックで拡大画像が見られます。( 以下は私が19歳の頃の習作です。)
模写に取り組んでみて、自然に派生する工夫はどんどん取り入れて実施して下さい。
古いスケッチブックにこんなことをしているのを見つけました。
画集の図版
黒の絵の具を薄めて指先につけてスタンプする様に指で描いています。
部分
課題を終えて
これでSECTION3はおしまいです。
模写で取り上げた画家達は、制作のどの瞬間も常に「いい感じ」で制作をしています。
習作として途中で終わっているものでもその状態を保っています。
模写をすることで、そういった制作のリズム感やノリに関わる部分も
追体験することが出来ます。ラフなスケッチ程度のものから、
時間をかけて行うものまでバリエーション豊かに継続して取り組んで行ってください。