旧東海道 品川宿
言葉のスケッチ
先日、細に付き合って品川まで出かけてみました。
旧東海道沿いにある丸屋さんは老舗の履物屋さんでお店に入るとそこは和の世界。
草履、下駄、雪駄、花緒が所狭しと並んでいます。
細は草履を誂えに来たのだけれど台を選んでそこに花緒を合わせるのに色々目移りしている。
「花緒を付けるのは10分もあれば終わります。お客さんが花緒を選ぶのに時間が掛かるんです。」
目の前は電話で伺っていた通りになっている。
同じ台に花緒を合わせ変えてみると見事に景色が変わるのが興味深い。
その風情の変化が面白くて私も鼻緒探しに加わってみる。
花緒は和装の主役ではないかもしれないけれど、一つ一つのデザインに
江戸っ子のお洒落心が感じられるのは歴史の厚みだなと思う。
結局、ご主人推薦の台に花緒の組み合わせに落ち着き出来上がったのが下の草履です。
前壷を赤に変えてアクセントにしてあります。
雪駄はかかとを落として土を付けない様に履くもので足の指は奥まで入れない事、
すり足の歩き方は多少だらしない感じで雪駄をパタパタ音を立てて歩くのが本式、
常につま先歩きで音を立てて歩くのはぶつかり防止の武士のたしなみ。
何で?と思ったことにはちゃんと理に適った理由がありそれをお洒落にこなすのが粋の構造、
ご主人に色々教わって時計を見ると1時間以上経っている。
草履、下駄、雪駄、鼻緒、そしてご主人と息子さんの手さばきと店の中ばかり見ていた私は、
振り返ったら東海道に江戸の景色があっても不思議で無い様な気がしていた。