ペインティングナイフの経時変化
画材の神さま
ペインティングナイフは筆に次いで油絵を描く時にポピュラーな画材です。
油絵を描いた経験が無い方は、名前にナイフと言う言葉が付いているので
カッターナイフの様なエッジを想像されるかもしれませんが、
実際にはものを切る用途には使えない程度の薄い金属ブレードに柄が付いたものです。
この金属ブレードのしなり加減がペインティングナイフの命です。
20年程昔まで有った鍛造品のペインティングナイフは、
今のプレス型抜きしたブレードを柄にロウ付けしたものとは一線を画す使い心地でした。
ペインティングナイフも使っていくうちに経時変化して行きます。
具体的には混色時のパレットやキャンヴァスとの摩擦でブレード部分が薄く尖ってきます。
また私の様に大理石のパレットを使っているとパレットとの摩擦で利き手に応じて
下の写真の様なすり減り方をします。
この状態になったペインティングナイフは自分の手のアクションに
馴染んだとても使い易い一本です。
大抵はブレードの付け根から折れて画材としての生涯を終えるペインティングナイフは
折れさえしなければ何十年も使える画材です。
下の写真は30年前から使っているものです。