技法は各画家独自の言語
芸術論とひとりごと
支持体(画面である紙やキャンヴァス)と描画材料(木炭、鉛筆、油絵の具)は
描いたり消したりまた描き直したりする中で、物質的な表情が変化して
キメ時を迎えます。
例えばリンゴを描いている時、赤い絵の具をキャンヴァスに乗せたとして
その絵の具が画面の中で赤い絵の具に見えてしまったら失敗です。
制作では単なる色合わせではなく、厚薄、下層との関係、
キワのせめぎ合い、その他色々な工夫が必要になります。
絵の具を画面上でいじればその様子は複雑になり
簡単には真似ることが出来ない面積が出来上がります。
大抵は一生懸命描いているうちにそう言う味わい深い描写になりますが
そのプロセスを幾つかの工程にして構築する事が出来れば
それはその人の絵の描き方つまり技法になります。
技法として確立された絵のつくり方が各画家それぞれの言語であり文法です。
言語であるからには、その画家独自の意味単位と組み立て規則があります。
このおかげで絵をパッと見ただけで「あ、ゴッホの絵だ」と分かる訳です。
あとはその言語を使ってどの様な絵を奏でるかのヴァリエーション
が画家の一生です。