紙の変化からみたデッサンのキメ時
芸術論とひとりごと
紙はデッサンしている過程で変化して描きやすい状態を迎えます。
ちょうど油絵の具で描いているときに絵の具が生乾きになり
描きやすくなった時の様な変化が紙にもあるのです。
紙が良い状態を迎えるまでの早さとその持続時間は紙の厚さによって違います。
薄い紙は紙をそれ程いじらないうちに良い状態を迎えますが、良い状態の持続が短めです。
厚い紙は最初は鉛筆が付かない位の頑固さを見せますが
一旦良い状態を迎えると長保ちします。
デッサンのキメ時は、いい状態を迎えるまで鉛筆を付けたり取ったり
やり取りしながら紙を育てておいて、
紙がOKサインを出したところでキメて行くのが極意です。
アルシュ(仏製)の180gと300gの水彩紙あたりで描き比べてみると
よくわかると思います。
紙から絵の物質感へと変化するところを実感するのはとても大切です。
いつも一意の場面で、決して「こうなるはず」では上手くいかない。
絵画制作から多くの哲学を学ぶのはこんなシーンの実感からです。