私の試み『芸術による全智の統合』その2

芸術論とひとりごと

制作中に発生する様々な理解や発見は、美や芸術に関してのみならず
物理、数学、哲学、など様々な分野に及びます。

熱力学の第二法則(エントロピー増大則)の誤りや
数学は正確な値を扱うのは苦手であることや
存在論において「我思う故に我あり」の先にある哲学や
その他いろいろな事が制作中にまったく突然にまるで思い出すかのようにわかるのです。

エントロピー増大則のことは言葉のスケッチ「第26話植えると生える」に書きましたので
今回は数学のことを少し書いてみます。

数学はおおよその値を知ったり扱ったりするのに大変便利な考え方です。
私たちの身の回りは数学が無ければ存在し得ないものにあふれ又支えられています。

数学が近似値の学問であることは絵画制作と比較すると良くわかります。
1+1=2 絵画制作の中で仮に一つのものを1とした時に
それ以外のものが1となることは有り得ません。

例えて言えば1.000014だったり0.99859等
どれだけ1に近くとも1ではない値となります。
そこをアバウトに1として制作すると絵は破綻します。
目の前にリンゴが何個かある場合そのそれぞれのもつ形の微妙な違い色の微妙なちがい
その他、そのリンゴだけが持つ一意の値を扱うのが絵画制作での情報処理の仕方です。

1+2=3 2+1=3 数学ではどちらも答えは同じ3ですが
絵画制作の中では1+2と2+1の結果はまるで違った画面となります。

さらに
1÷3=0.33333333…×3=0.999999… この時
左の式と右の式の中で同じなのは÷3と×3 で使った3だけです。
同じもので割ると掛けるをした後答えが元の数字にならないのは
割るに使った3と掛けるに使った3が異なる値であった事を暗示しているとも考えることが出来ます。

数学の場合には、1に近いものを大まかに1に置き換えて考えてみることで考察が進行していきます。
また1.2.3.4.5.6.7.8.9.0という数字は何度でも繰り返し使われます。

それに対し絵画制作の場合には全ての割り切れない中間値をそのまま扱います。
一見同じ様に見えるものどうしの中に違いを見出し制作するのは絵画芸術の真骨頂です。

目の前のモチーフや画面の状態が未来永劫1回きりの状態
であることを大切にしますから結果得られる答えは正確無比な値となります。

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