デッサンは暗い所を描くが9割
芸術論とひとりごと
デッサンの見応えや深みは紙の物質感の変化によって生じます。
大抵の場合は構図や描写の試行錯誤の中で自然に紙の物質的な表情は変化してくれます。
描いては消して(鉛筆や木炭などを取って)を繰り返す過程がそうしてくれるのです。
施行錯誤の痕跡は上手くすればデッサンの見応えや深みになり
下手をすれば汚れになってしまいます。
その差はどこでうまれるかと言えば、一つには実感のこもった線や調子のやり取りが
出来るかどうかに掛かっています。
分かり易く言えば、一生懸命にモチーフを観て描いた行為は、寸法が狂っていたり
行き過ぎた調子であっても絵を助けてくれるものです。
いい加減な実感を伴わない線や調子は絵を壊す汚れになります。
そして描くという闘いにも適した場所があります。
さあ、さっぱりピンと来ない方のためにズバリ書いてみます。
白い紙に黒い描画材料(鉛筆、木炭など)で描く場合に
自分が描く行為全般を汚れにしないためにはどうすれば良いのか?
答えは、モチーフの陰の部分だけを描いたり消したりすれば良いのです。
白い紙に黒い画材でデッサンする場合に描くべき場所は、暗い所が9割
だと思って描いてみてください。
これは極意です。
上手く行った時に実感を持ってその理由が理解できるはずです。