魔法の鉛筆は制作感覚の目醒め
芸術論とひとりごと
昨日は白いものを黒い画材で描く時のことを書きましたので
今日は黒いものを黒い画材で 描く時のことを書いてみます。
黒いものの中に出来るトーン(明暗の諧調)はほとんど黒に近いところでの抑揚です。
このことは昨日の逆ですから分かり易いと思います。
下は昨日載せた写真です、確認してみてください。
黒いものを黒い画材で描くのだから、白いものを黒い画材で描くのと違って
簡単だろうと思われる方が多いかもしれません。
ところが案外そうでもないんです。
その原因は黒い画材である木炭や鉛筆を本当の限界まで黒く使う経験が無い事に拠ります。
小さい頃から普段の生活でも使ってきた鉛筆は、
多くの場合文字を書くために手にして書く筆圧も大体いつも同じです。
デッサンする時にもその感覚の影響から『限界の黒』を作ることに意識が向かいにくいのです。
思い込みの壁を乗り越えて限界の黒を紙の上に作り出すのにも様々な付け方の工夫が要ります。
私の絵画教室 絵画実践プログラム section1-1 でも
『画材として紙と鉛筆を使いますが普段から使い慣れた紙と鉛筆とは
全く別の魔法の鉛筆と紙だと思ってください。』
の一文から始まるのも絵画制作の感覚を呼び醒ますためです。