〇色をした物質
芸術論とひとりごと
ビンに入った状態では色が違うだけの粉末にしか見えない顔料は
乾性油と練り合わせてみると、物質そのものとしての性質の違いをあらわにします。
油絵の具は、顔料+乾性油 が基本です。
基本と書いたのは顔料の性質上絵の具の状態になってくれないのを
シャキッとさせるための添加物があるからです。
発色を考えれば顔料濃度は出来るだけ高く、油分その他は少なく済ませたいところですが、
固着力、酸化乾燥後の収縮度、などの問題もありますので
絵の具メーカーは工夫のしどころです。
同じパッケージで画材店に並んでいても絵の具の中身の性質は様々で
混色一つとってもコンピューター上で色を扱う様な理論値通りでは無いところが
油絵の具という物質自体を扱うことの面白さでもあります。
そんな絵の具達に対して画家は、色ではなく ○色をした物質 と言う扱いが欠かせません。
画材店には色を買いに行くのではなく、○色をした物質 を買いに行くのです。
その感覚はそのまま絵を画像ではなく物そのものとして
捉える感覚へとつながって行くでしょう。