マチエールについて その1
芸術論とひとりごと
マチエールとは『絵の美感につながる絵肌』のことです。
絵肌とは『絵の表面の物質的な様子』の事です。
歴代の名画達はそれぞれ美しい絵肌をしています。
ファンアイク、ホルバイン、マンテーニャ、カラヴァッジョ、フェルメール、ゴッホ、
セガンティーニ、メグゼッパー、その他多くの画家達は独自かつ独特の絵肌を有しています。
例えば、フェルメールの絵とゴッホの絵は、それぞれ見たことが無い作品であっても
どちらが描いた絵か容易に判断できるでしょう。
また美しい絵肌であることは絵の中に描かれた図と同等以上
の重要度を持っていて、それぞれは相対的に関連しあっています。
描かれる図とマチエールの関係を確かめるために、
フェルメールの図でゴッホのマチエールにした場合と、
その逆にゴッホの図でフェルメールのマチエールにした場合の絵を想像してみると
どちらも台無しになることは容易に想像できるはずです。
マチエールは誰の絵であるか、個性そのものを語るその画家固有の言語です。
そのマチエールでしか表現することが出来ない美の世界があって
その画家が獲得した表現そのものであると言えます。