マチエール その2 デッサンの場合
芸術論とひとりごと
マチエール(絵の美感につながる絵肌)は主に油絵で使われる用語です。
油絵の具は使い方のヴァリエーションが他の絵の具に比べ多く
美しい絵肌の作り方も様々です。
多くの場合、油絵に取り組む方々に木炭デッサンが推奨されるのは
木炭が紙に対して付け方のヴァリエーションが豊富で
使い方の工夫に意識が向かい易いからです。
鉛筆に比べて直ぐに黒ずんでしまったり
細かな所が描きにくかったりする事も修錬する上で理に適っています。
デッサンは白黒ですがモチーフの明暗を描けば良い訳ではありません。
デッサンの場合にもマチエールの意識は大切です。
マチエールまで意識して描かれたデッサンは単なる図や明暗合わせに終わらない
ヴァルールの感覚訓練になります。
参照→『ヴァルールについて』
下はスーラのデッサンです。
描かずとも細部を感じさせる見事なマチエールのデッサンです。
是非模写をしてみてください、色々な事がわかると思います。
ちなみにこのデッサンはコンテで描かれています。
『絵を描く』は『図を描く』ではありません。
『美しい物質を創る』です。