第八章|美の正体は特別な比率バランス
芸術論とひとりごと
美の正体は特別な比率バランス
美は『結果的にバランスした或る特定の比率』です。
寸法比に黄金分割というのがありますが、
美を発生させる比率はそんなに単純なものではありません。
図や色や形や距離や素材や量や数や思い込みなどが作り出す
一意の絶妙なバランスの元に発生します。
芸術は、様々な画材(素材)をどの様にか
美の比率にバランスして見せるところに値打ちがあります。
画材やモチーフ、コンセプトに於いて新しい組み合わせであっても、
美に仕立ててなければ、食べられない味の料理と同じです。
美味しい料理、不味い料理は味覚が適切に判断を下しますね。
味覚が拒否する味は、生命に害になる要素あり、と脳が判断するのでしょう。
これに対し視覚は、視野に入れるものを選り好みしていては生命の危険を招きます。
この理由により、視覚には予め広いキャパシティーが与えられています。
美の存在
人間の眼(脳)は、常に美を見つけたがっていますが、
美醜何もかもゴチャ混ぜに視野に入れています。
そして、更に思い込みの力が働くので
「美の存在」は見つけ難いものになってしまいます。
例えば、花が好きな人は、花が描いてあると言うだけで、
美しい絵だと思い込んでしまうことが考えられます。
また、「美術館にある絵は全て美しいもの」と思い込んで見に行って、
美しいと感じることが出来なければ、
「自分には絵(美)はわからない」と思い込んでしまうかもしれません。
実際には、美術館に美しい絵が1枚も無い事も有り得ます。
こういった思い込みに邪魔されること無く、
観るべき絵を見つけるコツはごじゃ箱の第一章『美術館へ行ったなら』に書きましたので
皆さん実践してみてください。
美に心を触れさせる時間は素晴らしく貴重です。