才能個性の伸び代を決めるもの
芸術論とひとりごと
今から32年前18才だった私の贅沢は、レコードを買う事でした。
一か月8万円が全てのカツカツ生活でしたからレコードは数か月に一度の贅沢な買い物です。
当時買ったフランチェスカッティーは今も愛聴盤ですが
音楽の知識の全く無い私が数あるレコードの中から選び出したのは
「珠玉の名盤」と帯にあったのとヴァイオリニストの顔からでした。
その後色々なヴァイオリニストの演奏を聴きましたが
結局フランチェスカッティーの音が一番のお気に入りです。
さて、前置きが長くなりましたが、絵画制作の場面にもこれと似たことがあります。
「全てを試みる前に当たりを引いてしまう」のがそれです。
これが一寸やっかいなので取り上げてみました。
自分が試さなければならない事柄の全体数は自分の感性が教えてくれます。
感覚的で曖昧にお感じになる方が多いかもしれませんが
絵に本気で取り組んでいる方はピンと来るはずです。
それら課題を一つ一つ制作の中で確かめて行くと幾つもの当たりに遭遇するでしょう。
その時の注意点を以下に記します。
1.当たりの程度の見極め。
どれくらいのグレードの当たりなのか、小当たり?大当たり?唯一無二?
2.保守の姿勢に入らない。
せっかくの当たりだから、などと守りに入らず攻め続ける事。
3.その後も全ての項目を確認完了するまで遂行する事。
上記の3つの重要度は 1 < 2 < 3 です。
3が一番大切な理由は、自分の感性が気にした全てのハズレを観ておくことにあります。
感性は無意識下であなたを個性へと導く完全な才能保持者です。
感性が要求する案件にはそれが必要な理由が隠されています。
それらをどれだけちゃんと観ておくかが無形の辞書となり将来あなたの個性の伸び代を決めます。