制作の中の存在論
芸術論とひとりごと
絵画制作の中ではよく存在に関して考察する場面に遭遇します。
「物が在ると言う事はどういう事なのか」
直接的に対象そのものを描くことで存在を確かなものにしようとしたり
対象は描かずその周りを全て描ききることで対象の存在を明らかにしたり。
いずれの場合にも一番重要な場所となるのは、
対象とそれ以外を分ける場所=キワです。
目の前にごく単純なモチーフがあるとします。
テーブルの上にコップが一つ置いてあるとしましょう。
あなたは構図を次の図の様なシンプルなものにして
テーブルの上のコップを描き始めたとします。
コップを描くことはコップ自体を描いているだけではなく、
テーブルや壁との違いを描く事だと気が付くはずです。
○○が存在すると言う事は○○以外が存在するということでもあります。
○○の存在を明らかにすると言う事は○○とそれ以外の違いを
明らかにすることでもあります。
それらの問題が集結する場所が「キワ」です。
キワ=境い目 です。
以前、キワは無限が待ち構える鬼の棲家だと書いたことがありますが
絵画制作の中で存在を明らかにする一番重要な場所なのです。