絵を良くするために壊す
『絵を良くするために壊す』この万能薬が使えるのは、
鉛筆や木炭などの付けたり取ったりする事が出来るデッサンと
油絵の具での制作の最大メリットでもあります。
せっかく描いたものを壊す、消す、のには勇気が要るでしょう。
万事うまく描き進める事が出来れば壊す必要はない訳ですが
ちょっとした観方の過不足や画材の使い方の不注意に気づかず
描き進めた結果好ましく無い状態に陥ることはよくあるはずです。
昨日書いた、『決まった準備や動作』を沢山育んで持っている
巨匠であれば描き方のプロセスが綿密に系統立てられていて
失敗の入り込む隙はありません。
せっかく描いた絵を壊すのは『より良くする為に壊す(消す)』訳ですから
よーく考えた『建設的な壊し方』をしなければなりません。
コンピュータではDeleteすればゼロに戻りますが
絵画制作では0には戻らないところが真骨頂であり秀逸なところです。
上手に絵を壊すことが出来れば、一旦描いた痕跡が味方をして
描きの重厚さや味わい深さを生む手助けをしてくれます。
これが絵をより良くする為の特効薬として作用するわけです。
追伸
制作過程に『絵を壊す』が入ると出来上がる絵は
模写することが出来ない絵となります。
『壊すところ』が曖昧且つ複雑過ぎて再現出来ないからです。