図に打ち勝つ
芸術論とひとりごと
今日もシンプルな設定で考えてみます。
テーブルの上に玉子が一つ置いてある状況を描くとします。
構図にしてみれば、こんな感じです。
構図は簡単、陰影を何となく付けたら、そこから先モチーフをどう観ることで制作を進めますか?
画家がこの設定で描く場合に、どう観て描いて行くかを矢印で記してみます。
この様に輪郭線や明確な境目、キワに対してぶつかる方向に変化を観察して描いて行きます。
絵の中で図はそこで画面が切れる(分れる、割れる)場所になってしまう危険地帯です。
絵画を構成する要素の中で、図の持つ力が強大なのはこれが理由です。
名画は描かれた図の力に打ち勝って、鑑賞者の眼を循環させて見飽きる事をさせません。
その為の仕掛けとして、境目があればそうではない方向への変化を追って描くわけです。
追伸
上の写真は、先程のテーブル上から玉子をどかした状態です。
テーブル上面と壁面の境目に、意地でも直線を引いたりしない事。
壁面からとテーブル面からのぶつかりの変化を無数に描いたら、
結果的に壁面とテーブル面の境目が出来ていた、
これが絵画的な画面を生む観方描き方です。