Section2-1『立体物を描く』

絵画実践プログラム

金子豊文|絵画実践プログラム|立体物を描く

はじめに

今回から立体物をモチーフにしますが立体物のかたちについて少し説明をします。

『かたち』

みなさんに「対象(モチーフ)のかたちを描いて下さい」と言うとほとんどの方が
輪郭線を描こうとしますがかたちには2種類があります。

1.外のかたち     対象の輪郭

2.中のかたち     対象の輪郭に囲まれた内側の起伏

「1+2=対象そのもの」 これは全てのモチーフについて言えます。

要は外のかたち(輪郭)の中に中のかたちを描けばよいのです。

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中のかたち(陰)は光がどちらから当たっているかによって出来方が変化します。

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そして中のかたちを描くためには光の当たり方の様子つまり陰を使います。

用意するもの

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鉛筆 4H、3H、2H、H、F、HB、B、2B、3B、4B
消しゴム  練りゴム クロッキーブック 擦筆
カッター テッシュペーパー  ボールペン 直定規
鉛筆の芯研ぎ(写真左上)←あるととても便利です(独)ステッドラー社製

適切な環境

直射日光が画面に当たらない自然光空間。
もしくは昼光色蛍光灯の非常に明るい空間。
静かで集中できる環境で。

やってみましょう

最初はモチーフを使わないで描いてみます。
クロッキーブックに25cm×25cmの四角をボールペンで書きます。

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その真ん中にCDをなぞってHBで円を書きます。

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この円のなかに陰を付けて白い球体に見える様に描いてください。
(光源は右真横の無限遠からを想定)

描き始め

外のかたちはすでにありますから中のかたちを描くために
球体に光が横から当たってできる陰を想像してみると
左半分が陰になることがわかります。

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左半分に陰を付けてみたところです
白い球体をイメージしていますからあまり濃いトーンは使っていません。

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ここで中のかたちを描く為の重要ポイントがあります。
上の写真では左半分の陰を均一に塗った状態ですがこれでは球体のふくらみに見えていません。
では膨らんでつまり出っ張って見える様にするにはどうすれば良いのか。
結論から先に言うと明暗トーンのコントラストを使います。

下の図を見てください。

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左の明暗のコントラストが強い方を手前に感じるはずです。
陰の部分の中でも膨らんで(出っ張って)見えて欲しいところの
明暗のコントラストを強くしてやるわけです。

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今回はまた、白い紙の上に白い球体だけを描いていますから
紙の白とのコントラストも見え方の問題になります。

左端のトーンが紙の白と強くぶつかりすぎると、
本来は球体の回り込みで見えなくなるところのはずが手前に出て見えてしまいます。
なので、下の写真の様に暗い部分ながらも少し明るくしてやる必要があります。

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以上は球体の右端から左端に向かう変化に関してでしたが、上下方向にも変化をつけないと真ん中部分が膨らんで見えてくれません。

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その変化を見事に作ってあげることが必要です。

『完成した状態です』

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※ 拡大したところ
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課題を終えて

課題1は、立体的に描く為のイントロダクションでした。

実際にはモチーフは、そのもの自体とまわりとの関係で成り立っているので
状況はもっと複雑です。

赤い紙を玉子に近づけたところと敷いたところですが
紙の赤が反射光となって玉子に映りこんでいるのが見えます。

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